Motion Fitting®は「身体にやさしい動きを創る」これまでになかった、新しいコンセプトに基づく身体「調整法」です。「Motion Fitting」をより深く知っていただくために、完成までの「経緯」をお話ししたいと思います。
是非、読んでみてください。

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目次
序章 これで良いのだろうか? ~芽生えはじめた「疑問」~
第二章 言い逃れしていないか? ~沸き上がる「疑念」~
第三章 リハビリとは何か?問い続けた先に ~差し込んだ「光」~
最終章 「作る」から「創る」 ~調整の「パラダイムシフト」~
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序章 これで「良い」のだろうか? -芽生えはじめた「疑問」-

 今からおよそ20年前、製薬会社の営業(いわゆるMR[医薬情報担当者])から脱サラ。理学療法士の国家資格を取得して、リハビリの道を歩み始めました。もともと医師を目指していた私。念願の医療現場で働くことに喜びを感じ、意欲に満ち溢れてました。回り道をしていた時間をいち早く取り戻すために、貪(むさぼ)りつくように専門書を読み漁(あさ)り、興味がある専門職向けのセミナーを受講するためなら、地元「福岡」にとどまらず、東京・名古屋・大阪・広島、全国各地を飛び回りました。朝は早めに出勤して、「年下」の先輩セラピストに自分のリハビリに対する助言を伺い、業務終了後には同僚セラピストに身体を借りて、技術の練習を重ねていきました。

 その甲斐あって、患者さんから「痛みがなくなった」「動けるようになった」「からだが軽くなった」との声を多く頂くようになりました。患者さんのリハビリが難しいと判断されたときには、医師から直接、担当を指名されるまでになりました。すると、「入院」「外来」問わず、担当する患者さんの数がどんどん膨れ上がっていきました。私はその状況を自身の修練のたまものと意に介していませんでした。しかし、外来に足しげく通う患者さんを観て、からだの具合が改善したら、入院の患者さんは退院するし、外来の患者さんも来院しなくなって、自然とリハビリは終了するはず。なのに、患者さんはリハビリを受けるとからだが「楽になって」喜びながら帰るけど、しばらくすれば、また元に戻ってリハビリに訪れる。この繰り返しはまるで「いたちごっこ」。この状態を果たして改善したと胸を張って言えるのだろうか?自己満足に過ぎないのではないか?本当にこれで良いのだろうか?しなければならないことがまだあるのではないか?次々と頭の中に疑問が芽生えはじめていました。

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第二章 言い逃れではないのか? -沸き上がる「疑念」-

 リハビリの「いたちごっこ」。解決策を見出せぬまま、私は福岡近郊の個人病院から福岡市内にある国立の医療センターへと職場を移りました。約700の病床数に対して、当時のセラピストはわずか「4名」。病気を発症して間もない患者さんや手術したばかりの患者さんを息つく暇もなく次から次へと担当しました。患者さんの調子は刻一刻、変わっていきます。入院期間が短く、患者さんと関われる時間も限られています。「リハビリで回復を後押しする」私はこの信念に基づいて、できる限りのことをしようと決めました。リハビリでは量を「質」で補うよう、運動直後の変化いわゆる即時効果を注意深く確認しながら、ひとりひとりに最適なリハビリを常に模索していきました。早朝や夕方の時間には、病室やデイルームに伺い、患者さんとじっくり話をするようにも心がけました。

 気が付けば、退院した患者さんがしばらくしてから、元気になった姿をわざわざ見せに来てくださったり、病室へ伺えば、担当していない患者さんやご家族からも運動や介助について相談されたり、看護部から依頼を受けて「新人教育プログラム」の講師をしたりしていました。しかし、潮流に乗って順調に回復する患者さんばかりではありません。回復が「思わしくない」患者さんや回復が「見込めない」患者さんを担当することもあります。いつもと変わらず「できる限り」のことをしました。しかし、心の中で何かが引っ掛かり、患者さんの体調で言い逃れしていないか?もっとできることがあるのではないか?自分に対する「疑念」が沸き上がっていきました。

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第三章 リハビリとは何か?問い続けた先に -差し込んだ「光」-

 私は要請を受けて福岡市内にある国立の医療センターから熊本県にある私立大学へと異動し、医療現場を離れて研究・教育に携わることになりました。しかしリハビリへの「疑問」や「疑念」は解決していません。リハビリとは何か?セラピストには一体、何ができるのか?研究・教育の傍ら自問自答を繰り返していました。リハビリは「自分らしい」毎日を過ごすための活動のはず。そして自分らしさとは「個性」。なのにリハビリでは、からだの動きには理想の型があり、その個性は悪影響を及ぼすとして、矯正するのが当たり前になっている。もしかしたら、ここに解決の鍵があるのではないか?私はそう考えて、からだの動きの個性がどのように創られるのか、「解剖学」「生理学」「運動学」「脳科学」「心理学」、先人たちが切り開いてきた、からだが動く原理を土台にして、様々な仮説をたてながら観察と検証を繰り返していきました。そして、ついにからだの動きの原型はたった「2つ」の情報から創られて、情報の「好み(指向)」がその個性を決めていることを突き止めました。そして身体の「構造」、動かす「機能」、動きを決める「心(認知)」、3つのシステムが調和をとりながら動きの原型を調整して身体が動くこと、その調和が「乱れた」時にコリや痛み等の不具合が生じることがわかってきました。改善しても元に戻ってしまう原因は動きの原型を考慮しないことにあったのです。さらに、加齢などに伴う関節の「変形」は構造システムの不具合、脳血管障害による運動麻痺は機能システムの不具合と捉えれば、たとえ不具合があったとしても、システム全体を調整すれば、身体の状態に合わせた「最適」なからだの動きを創ることはできる。回復の見込めない患者さんであっても、呼吸や循環などのエネルギー供給システムを含めた全てのシステムを調整すれば、からだの状態に応じた最適なからだの動きを「創る」ことはできる。理想とするからだの動きを「作る」のではなく、ひとりひとりに合った、最適なからだの動きを「創る」。これこそがリハビリが目指すべき目標ではないか。私がたどり着いた答えでした。無謀にも感じた試行錯誤の繰り返しでしたが、まるで暗闇に差し込んだひとすじの光があたり一面を照らすかのように、これまでの「疑問」や「疑念」に対する自分自身の答えがはっきりと見え、視界が一気に開けたような気がしました。

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最終章 「作る」から「創る」 -調整の「パラダイムシフト」-

 歴史を振り返ると、からだの動きは様々な人々に共通する動きを抽出することによって解明されてきました。この共通する標準的な動きがいつの間にか「理想」となり、リハビリではこの動きをあてはめるようになったのです。確かに理想とされる動きが「最適」なのは間違いありません。しかし、ひとりひとりにとって最適かどうかは検証すらしてこなかったのです。私は動きの「原型」を考慮した方法を確かめてみました。やはり予想した通り、理想とする動きよりも動きの「原型」を考慮したほうが、その人にとって動きやすいことがはっきりしました。理想とされるからだの動きを「作る」よりも、その人に合ったからだの動きを「創る」ほうが重要だったのです。私の中でパラダイムシフト(発想の転換)が起きました。従来の方法を礎(いしづえ)にして、私はからだの動きの原型を最大限に活かす、新しい調整法を完成させました。身体に組み込まれている各々のシステムを「調整(Fitting)」して、ひとりひとりの個性に合わせた最適なからだの「動き(Motion)」を創る。この新しいコンセプトに基づく調整法を「Motion Fitting®」と命名しました。

 一方、職場ではとても息苦しい毎日を過ごしていました。自分の信念が何度も覆されて、自分の人生なのに「他人」に支配されている、そんな感じすらしてきたのです。もう一度「現場に戻ろう!」私はそう決意しました。しかし、もうすぐ50歳。残された時間はそれほど多くありません。自分にできることを最大にするには、どうすべきか考えました。病院やクリニックで行うリハビリは構造と機能の回復が目的であり、時間と期間に制約もあります。動きを創ることに充分な時間を割くことができないのです。それならば、自分に合ったからだの動きを身につけたい、そう考えている方の元へ「自ら」出向き、充分に時間をかけて納得するまで徹底的に調整する。これが自分にできる最大限のことではないか。そう考えて、自宅や職場の一室、最寄りのレンタルスペース等に簡易ベッドやマットを持ち込み、からだの動きの調整をはじめました。

 先日、人混みの中をぶつかりもせずスムーズに歩いていく人を観て、その「動き」がまるで美しい曲を奏でる「オーケストラ」の様に見えました。からだを支える構造システムは「楽器」、からだを動かす機能システムは「演奏者」、からだの動きを決める認知システムは「指揮者」。すべてが揃わないとスムーズに動けない。しかも、指揮者によって曲の印象が変わるように、人それぞれ歩き方が違う。だからこそ、からだの動きは決められた形を「作る」のではなく、ひとりひとりに合わせて「創る」のが大切なんだ、あらためてそう感じました。「からだの動きで健やかな毎日を創る」この目標へ向かって、ひとりひとりにピッタリなからだの動きを「創り」続けていきます。これからも、ずっと…

-完-

最後までお読みいただき、ありがとうございました.

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